「埼玉の21世紀の障害児教育に対する提言」を発表するにあたって

  文部科学省は、学校教育施行令の一部を「改正」し、今年4月より「就学基準の見直し」を施行しました。就学指導委員会の設置義務をなくしたり、通常学校への特例措置の条件を拡大するなどして、障害児の通常学校への就学の大幅な規制緩和を図ろうとしています。これは、障害児学校を統廃合して、安上がりの障害児教育へ変質させようとするものです。一方、県教育委員会は、依然として寄居養護学校の廃校を画策したり、深刻な教室不足など教育条件の劣悪化を放置したり、川越養護と坂戸ろう学校の給食の民間委託を強行するなど、埼玉県でも「安上がりの障害児教育」政策をすすめています。このような障害児教育行政の流れを変えて、民主的・科学的障害児教育の発展をめざす運動を大きく前進させるためには、長期的な展望を踏まえた具体的な政策・提言が極めて重要になっています。

 21世紀の埼玉の障害児教育が、一層、充実・発展することを願って「政策提言」中間報告を発表してから一年たちました。この間、「中間報告」をもとに関係諸団体との懇談や障害児学校分会などでの学習を続けてきました。そして、貴重なご意見が多数寄せられました。「政策提言委員会」は、寄せられたご意見も踏まえて、「中間報告」を一層充実した内容にするために検討を重ねてきました。

 障害児教育を巡る情勢は厳しく、しかも急速に展開されています。「提言」は、21世紀の埼玉の障害児教育の青写真を意味するものではありません。障害児教育関係者や父母・県民の共同のたたかいが大きく展開されることを基本に、21世紀という長期的展望に立って検討してきたものです。私たちは、20世紀の障害児教育運動で「積み残してきた当面解決すべさ課邁」の解決と「勝ちとってきた成果」の発展・充実を、21世紀に運動として引き継いでいかなくてはなりません。この「提言」は、将来的な展望を提起すると同時に、障害児教育運動として位置づけて展開されることを期待するものです。そして、すべての障害児学校が、学校や地域の将来構想を検討し、具体化するための運動にとりくむことを呼びかけるとともに、多くのみなさんが積極的な提案・ご意見をお寄せいただくことを心から願っています。

2002年6月8日
                埼高教障害児教育部
                部長 増沢 昌明

  
 
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