提言2 特別ニーズ教育圏を構想し、

地域の障害児教育センター・寮(寄宿舎)を備えます

 

1.特別ニーズ教育圏を構想します

 障害児学校の設置、就学相談・指導の単位として「特別ニーズ教育圏」を構想します。「特別ニーズ教育圏」は後述する「基礎教育圏」およびそのいくつかをあわせた「広域教育圏」とします。

 基礎教育圏ごとに小規模(小・中学部)の知的養護学校の設置を進めます。過密・過大になっている養護学校の地域、大規模障害児学級を抱える地域から小規模養護学校の設置をすすめ、順次拡大して行きます。当面、北部・東部に各1校、南部に2校設置します。

 盲学校、ろう学校,肢体不自由養護学校については、通学時間などを考慮しながら、ニーズに応じて学校の増設、分校等の設置を進めます。

(1)基礎教育圏

 現在の知的障害養護学校は校区が広域です。スクールバス乗車を含めた片道の通学時間が1時間30分超える児童生徒がいるなど弊害がみられます。また、保護者は居住する地域の中で学校生活をおくらせたいという要求を持っています。これらを解決するため、概ね人口5万人〜10万人を目安とし、通学時間や行政区分などを考慮して、「基礎教育圏」を構想し、これを単位に小規模な知的養護学校を設置します。必要に応じてこの学校には幼稚部を設置します。

 就学相談・指導についても基礎教育圏を単位として進めます。

 特別なニーズ教育を必要とする通常学級で学ぶ障害児や、障害児学級で学ぶ子ども達のために、少なくとも基礎教育圏内の通常学校にニーズに応じて障害種別ごとの障害児学級、通級学級(通級指導教室)を設置します。

(2)広域教育圏

 いくつかの「基礎教育圏」を合わせた概ね人口30万〜50万人を目安とした「広域教育圏」を構想します。広域教育圏には専攻科を備えた知的高等養護学校、肢体不自由養護学校(当面は小学部・中学部・高等部)を設置します。必要に応じて盲学校・ろう学校のサテライトを設置します。

 高等部の分離独立・専攻科設置、小規模知的障害養護学校設置など今後の学校設置にあたっては、広域教育圏ごとに総合的な検討を行い、計画な設置を進めます。

(3)盲学校、ろう学校、病弱養護学校など

 1)盲学校については、必要に応じて広域教育圏に分校・分教室等のサテライトを設置します。

 2)ろう学校については、当面、北部にろう学校を設置します。高等部本科と専攻科をあわせた高等ろう学校を分離・独立して設置します。また、、必要に応じて広域教育圏に分校・分教室等のサテライトを設置します。

 3)寄宿舎、スクールバスを備えます。

 4)広域圏のセンター的機能を持った教育相談部門を備えます。

 

2.地域の障害児教育センターを設置します

 障害児学校にセンター的機能を望む声があります。こうした声に応えて、障害児学校で学ぶ子どもたちの集団を保障し、教育を進める「教育指導部門」と、通常学級や障害児学級で学ぶ子どもたちやその他の「障害種別の学校」で学ぶ子どもたち、就学前の子どもたちなどのニーズに応える「センター」としての機能を果たす「教育相談部門」とを併せ持つ二部門制を構想します。

 さらに、広域教育圏には「特別ニーズ広域教育センター」を設置し、教育相談の他に早期教育や通級指導にも対応します。

 障害児学校の「教育相談部門」や「特別ニーズ広域教育センター」は、基本的には学校に就学する障害児の教育に責任をもちつつ、就学前、卒業後の障害児・者の生活や学習を支援するネットワークの一部として機能します。また、教育分野の代表として、福祉・医療・労働等との連携の要としての役割を果たします。具体的な役割は、その障害児学校等の位置づけ・役割やその地域で活用できる医療や福祉などの社会的資源がどれだけ存在し、利用できるのかによっても変わって来ます。

 センターとしての機能を果たすために、「教育相談部門」・「特別ニーズ広域教育センター」には、必要なスペース(校舎・建物)を確保し、必要な予算を計上し、必要な教職員を配置します。

(1)障害児学校の教育相談部門

 盲学校、ろう学校、基礎教育圏を単位として設置される小規模知的養護学校、広域教育圏を対象として設置される高等養護学校(知的障害)、肢体不自由養護学校に「教育相談部門」を設けます。

1)視覚・聴覚障害者への専門的な教育機関としての盲・ろう学校は、教材開発や全県的な教育相談、養護学校や障害児学級、通常学級に在籍する視覚障害児への教育上のアドバイスなどを行います。

2)養護学校については、地域の小規模養護学校などの整備にともない、センターとしての機能も分化させて行きます。地域の小規模養護学校は、「地域の障害児教育センター」として、次のような機能を果たします。

@ 専門職員による就学相談・教育相談、発達相談の実施

A 通常学級などにおける障害児の特別なニーズに対応する教育内容、教育条件等を明確にし、学習状況を把握した上での支援

B 研究成果の提供、教育方法の開発・普及、教材や教具の開発・貸し出し

C 研修生の受け入れ

(2)特別ニーズ広域教育センター

 広域教育圏内を単位として、圏内のいずれかの小規模(知的)養護学校に併置して「特別ニーズ広域教育センター」を設置します。原則的には、現在ある知的障害養護学校をこの養護学校としますが、地理的な問題等があれば、新たに設置する小規模養護学校をそのように位置づけます。この小規模養護学校には教育相談部門はおきません。

 「特別ニーズ広域教育センター」には「教育相談部門」の他に「早期教育・通級指導部門」を設けます。「広域センター」は主に次のような機能を果たします。

@ 圏内の通常学級などに対する巡回指導

A 研究成果の提供、教育方法の開発・普及、教材や教具の開発・貸し出し

B 広域内の障害児のための専門職員による就学相談・教育相談、発達相談の実施

C 研修生の受け入れ

障害者の社会教育については学校教育と切り離して考えます。

(3)盲学校・聾学校サテライト(分校・分教室など)

地域の実情に応じて、「特別ニーズ広域教育センター」内におくこともありますが、地域の障害児学級などと併置することも考えられます。

 

3.寮(寄宿舎)

 盲学校、ろう学校、高等ろう学校、高等(知的)養護学校には寮(寄宿舎)を併置します。広域教育圏を単位として、必要に応じて小規模養護学校の一つに寮(寄宿舎)を併置します。

 

4.二重学籍を認めます

 特別なニーズ教育を必要とする子どもについては、必要に応じて、二重学籍を認めます。二重に学籍を持つ場合には両校にカウントし、特別なニーズを保障するために、それぞれの学校における教職員配置や教育条件整備を進めさせます。

 全面的に障害児学校でのカリキュラムニーズを持つ子どもについては障害児学校に学籍を置きます。その上で、さらに通常学級での学習を必要とする子どもについては、通常学級にも学籍を認め、二重学籍とします。

 障害児学級、通級指導学級においては通常学級との二重学籍とします。


 

  

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